去る2月8日、講師に危機管理教育研究所代表の国崎信江先生をお迎えし、表記の演目にて講演頂きました。
まず、地震時のブロック塀の危険性についてお話がありました。ひびが入っている、傾いている等、目視にて危険を感じるブロック塀は勿論ですが、そもそも安全なブロック塀はないとのことです。塀は危険という認識を普段から持ち、例えば子どもと散歩している時でも「ここで今地震が起きたらどうなると思う?」「もし地震が起きたら、あなたならどうする?」という問い掛けを繰り返すことで、子ども自身が考え、自分の命を自分で守ろうとする意識に目覚めていくとのことでした
次に、阪神淡路大震災にて大きな被害を被った幼稚園の映像が流れましたが、本来園児を守り育む設備が凶器に見える、ショッキングなものでした。非構造部材(天井・壁・水道管等)が崩壊したことで立ち入れない廊下。激しい揺れで机、ロッカー、ピアノまでもが移動してしまった教室。園庭は地割れで盛り上がり、倒れた鉄製ゲート。例え園の建物に耐震性があっても、地盤が軟弱な場合その耐震性能は発揮されないし、天井や壁の部材の強度、ピアノやロッカーがきちんと固定されているかによっても被害の大きさは変わってきてしまうそうです。
家庭で地震が起きた場合も、住宅の耐震性や地盤の強度によって、またマンションですと階層によっても被害にかなり差が出てくるとのことでした。直下型の地震(ドンと突き上げる衝撃の後グラグラするタイプ)の場合、戸建ての全壊が増える傾向にあるので、地盤や住宅の耐震性に不安がある場合は、上階にリビング・寝室を移した方が良いそうです。海溝型地震の長周期地震動(長い時間ユラリユラリと揺れるタイプ)は、高層の建物に大きな影響を及ぼし、高層階になればなる程、家具の移動や転倒で怪我を負うリスクが高まるため注意すべきだと述べられました。
その他、お話になられたことを箇条書きにてまとめますと、以下のようになります。
- 造りつけの家具であっても中から物が飛びだす危険性があるので、ストッパーを付ける。
- 地震がきたらテーブルの下に潜る、というのは良く言われることだが、そもそもテーブル自体が動いてしまう場合があるので、ダンゴムシのポーズ(四つん這いで頭を抱える)で大きな揺れをやり過ごす。
- キャスター付きの家具は対角2点をロックすると安全性が高まる。
- 食器棚は棚板一面に滑り止めシートを、本棚は前面にガードテープ(ガムテープ重ね張りで代用可)を貼ることで飛び出しを防止する。
- 食品を家庭内で流通備蓄する(非常食でなく、通常の食品ストックを多めにし日常生活で期限内に消費していく)ように心掛ける。
- ヘルメット(落下物から確実に頭部を守れる)、笛(声は届かなくても笛の音は届く)の有効性と止血用品の重要性(止血パッドを防災グッズに入れ、子どもにも使い方を教える)
- 地震後の生活再建は金銭的・精神的・肉体的に非常に大きな負担→適切な保険に加入
*住宅再建と家財道具の買い替えでかかる金額は4000万円弱(4人家族で試算)
国崎先生は、地震に備え3回もお引っ越しをされ、お風呂やトイレに閉じ込められた想定での準備もなさっているそうです。また、インテリア雑貨等で怪我をしないよう20年かけて革・紙・布・シリコン製の物に買い替えてきたとのことでした。そこには、家庭を一番安全な場所にするという強い信念があるのです。
そこまで徹底することはなかなかできないかもしれませんが、「今ここで地震が起きたら?」を家族と共に日頃から意識・想像し、各々できるだけの備えをしておくことが大切だと改めて感じた講演会でした。